プロジェクト概要

今回ご紹介するのは、従業員500名規模の金融サービス企業B社の事例です。オンプレミス環境からクラウドへの移行と、同時に実施したソフトウェア資産管理(SAM)の最適化により、IT運用コストの40%削減を実現しました。

企業プロフィール

  • 業種: 金融サービス
  • 従業員数: 約500名
  • 課題期間: 2024年10月〜2025年9月(12ヶ月)
  • プロジェクト規模: システム全面刷新

移行前の状況

抱えていた課題

B社は長年オンプレミス環境でシステムを運用していましたが、以下の課題に直面していました:

インフラ面

  • 老朽化したハードウェア: 5年以上経過したサーバーが複数
  • 高額な保守費用: 年間2,000万円超
  • 拡張性の欠如: ビジネス拡大に対応できない
  • BCP対策の不足: 災害時の事業継続性に不安

ソフトウェアライセンス面

  • ライセンス管理の混乱: 誰が何を使っているか不明確
  • 過剰購入: 実際の利用状況とライセンス数の乖離
  • コンプライアンスリスク: 監査対応に多大な工数
  • 契約の複雑化: 複数ベンダーとの個別契約

年間IT運用コスト(移行前)

  • ハードウェア保守: 2,000万円
  • ソフトウェアライセンス: 3,500万円
  • 運用人件費: 2,500万円
  • 電気・設備費: 500万円
  • 合計: 8,500万円

ソリューションの実施

Phase 1: アセスメントと計画(2ヶ月)

当社はまず、詳細な現状分析を実施しました:

  1. インフラ調査

    • システム構成の可視化
    • 依存関係の分析
    • パフォーマンス測定
    • セキュリティ監査
  2. ライセンス監査

    • 全ライセンスの棚卸し
    • 実際の使用状況調査
    • コンプライアンス状況確認
    • コスト分析
  3. 移行計画策定

    • クラウドアーキテクチャ設計
    • 移行優先順位決定
    • リスク評価
    • スケジュール策定

Phase 2: クラウド移行(6ヶ月)

段階的なアプローチで移行を実施:

ステップ1: 非クリティカルシステム(月1-2)

  • 開発・テスト環境
  • 社内ポータル
  • ファイルサーバー

ステップ2: 業務システム(月3-4)

  • CRM
  • 営業支援ツール
  • 人事システム

ステップ3: 基幹システム(月5-6)

  • 会計システム
  • 顧客管理システム
  • データベース

Phase 3: SAM最適化(並行実施)

クラウド移行と並行して、ライセンス最適化を実施:

  1. 使用状況分析

    • ログ分析による実使用データ収集
    • 部門別・ユーザー別の利用状況
    • 季節変動の把握
  2. ライセンス体系見直し

    • Microsoft 365への統合
    • サブスクリプションモデルへの移行
    • ボリュームディスカウントの活用
  3. 継続的管理体制

    • 自動監視ツールの導入
    • 月次レビューの実施
    • 承認プロセスの標準化

Phase 4: 最適化と安定化(4ヶ月)

移行後の調整と最適化:

  • パフォーマンスチューニング
  • コスト最適化(リソースの適正化)
  • セキュリティ強化
  • 運用手順の確立

成果

コスト削減効果

項目移行前移行後削減額削減率
インフラ費用2,000万円800万円1,200万円60%
ソフトウェアライセンス3,500万円2,100万円1,400万円40%
運用人件費2,500万円1,800万円700万円28%
電気・設備費500万円0円500万円100%
合計8,500万円4,700万円3,800万円45%

その他の成果

ビジネス面

  • 拡張性向上: 必要に応じて即座にリソース追加可能
  • 新サービス立ち上げ期間: 3ヶ月 → 2週間に短縮
  • システム可用性: 99.5% → 99.9%に向上
  • BCP対策: 完全なディザスタリカバリ体制を確立

運用面

  • 保守作業工数: 月間200時間 → 80時間に削減
  • 障害対応時間: 平均4時間 → 1時間に短縮
  • セキュリティパッチ適用: 自動化により即座に対応
  • 監査対応工数: 年間200時間 → 50時間に削減

ライセンス管理面

  • コンプライアンス達成: 100%
  • 未使用ライセンス: 削減率85%
  • 契約ベンダー数: 12社 → 4社に集約
  • 管理工数: 月間60時間 → 15時間に削減

お客様の声

「当初はクラウド移行に不安もありましたが、ターゲットベースの綿密な計画と段階的なアプローチにより、業務への影響を最小限に抑えながら移行できました。特に驚いたのは、SAM最適化により想定以上のコスト削減を実現できたことです。今では、ITを戦略的資産として活用できています。」

— B社 取締役CIO

「移行後の運用も非常にスムーズです。以前は月末にサーバー増強が必要でしたが、今では自動的にスケールするため、安心してビジネスに集中できます。また、リモートワークも容易になり、働き方改革にも大きく貢献しています。」

— B社 システム部長

成功の要因

1. 包括的なアプローチ

単なるクラウド移行ではなく、SAM最適化も同時実施することで、最大限の効果を実現

2. 綿密な計画

2ヶ月をかけた詳細な調査と計画により、リスクを最小化

3. 段階的な実施

一度にすべてを移行するのではなく、リスクの低いものから順次実施

4. 継続的な改善

移行後も定期的なレビューと最適化を継続

5. 専門知識の活用

クラウドとSAMの両方の専門家によるサポート

学んだ教訓

Do(すべきこと)

  • 現状を正確に把握する
  • ステークホルダーと密接にコミュニケーション
  • 段階的にアプローチする
  • 定期的なレビューを実施する
  • ドキュメントを整備する

Don’t(避けるべきこと)

  • 一度にすべてを移行しようとする
  • 現状分析を省略する
  • コスト削減だけを目的にする
  • 社員教育を軽視する
  • 移行後の最適化を怠る

次のステップ

B社は現在、さらなる最適化に取り組んでいます:

  • AI/MLの活用: 業務プロセスの自動化
  • データ分析基盤: ビジネスインテリジェンスの強化
  • マルチクラウド戦略: 最適なクラウドの組み合わせ
  • 継続的最適化: FinOpsの実践

まとめ

この事例が示すように、クラウド移行とSAM最適化を組み合わせることで:

  1. 大幅なコスト削減
  2. ビジネスアジリティの向上
  3. セキュリティとコンプライアンスの強化
  4. 運用効率の改善
  5. 戦略的IT活用の実現

が可能です。

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